「シミやシワというより、肌そのもののツヤやハリを取り戻したい」——最近、そうしたご相談が増えています。その選択肢のひとつが、水光注射やスキンブースターと呼ばれる、ヒアルロン酸を肌の浅い層に細かく注入する方法です。この記事では、仕組み・報告されている効果・わかっていないこと・当院の考え方を、院長の今井が正直にお伝えします。
「取る」治療ではなく、「底上げする」治療です
レーザーでシミを狙う、ボトックスでシワの動きを抑える——こうした治療が「気になるものを減らす」方向だとすれば、水光注射は少し役割が違います。
肌の浅い層にヒアルロン酸などをごく少量ずつ注入し、水分・ハリ・キメといった「肌質そのもの」を底上げすることを目的とした治療です。近くで見たときの質感、いわゆる「肌のコンディション」に働きかけるものとお考えください。
報告されている効果
顔の肌質改善を目的とした注入用ヒアルロン酸について、複数の研究をまとめて検証したレビューでは、水分量・ハリ・明るさ・キメ・ツヤ・弾力といった項目で改善が報告されています。「疲れた印象がやわらいだ」という評価が含まれる研究もあります。
- 1回の施術でもハリの改善が報告されています
- 複数回行ったグループでは、肌の疲労感や皮膚の密度の面でも差が報告されています
こうした背景から、当院でも「1回で完成」ではなく、間隔をあけた複数回のケアとしてご案内することが多い治療です。
正直にお伝えしたいこと(わかっていないこと)
効果が報告されている一方で、研究の質そのものについては慎重に見ておく必要があります。
- 比較試験ではない研究も多く含まれ、エビデンスの質は「高い」とは言えないと評価されています。
- 長期的な成績を調べた研究はほとんどなく、持続期間や繰り返しの長期的な影響はまだはっきりしていません
- 製剤ごとの優劣や、最適な回数・間隔も確立されていません
「効くと報告されているが、その確からしさや持続はこれから」という段階です。効果を保証するものではなく、個人差がある点はご理解ください。
安全性について
先ほどのレビューでは、重篤な有害事象や持続する有害事象の報告はなく、一過性のしこりが1例報告されたのみ、とされています。とはいえ注射である以上、内出血・赤み・腫れ・痛みは起こりえます。まれに、しこりや感染などが生じる可能性もゼロではありません。
スキンブースター製剤についての注意
「スキンブースター」と呼ばれる製剤のなかには、国内で承認されていない、あるいは承認された範囲外の使い方にあたるものもあります。そうした製剤を用いる場合は、国内未承認・適応外である旨、入手の経路、起こりうる主なリスクを、施術前に必ずご説明します。ご不明な点は遠慮なくお尋ねください。
こんな方に向いています
- シミやシワというより、全体の乾燥・ツヤ不足・ハリの低下が気になる方
- 大きく変えるより、肌のコンディションを整えていきたい方
- 他の治療と組み合わせて、土台の質を上げたい方
逆に、はっきりしたシミやたるみが主なお悩みであれば、別の治療のほうが適していることもあります。診察で肌の状態を拝見し、必要のない治療はおすすめしません。相談だけでお帰りいただいて構いません。
※効果の出方や持続期間、副作用の感じ方には個人差があります。本記事には院長個人の見解が含まれます。使用する製剤や適応は診察のうえでご説明します。
