「ボトックスは1回打って終わりですか」「続けたほうがいいのでしょうか」——診察でよくいただく質問です。結論から申し上げると、続けるかどうかはご本人の選択ですが、定期的に続けている方のほうが効果が長持ちしやすいという報告があります。この記事では、続けることの意味、結果を分ける要因、そして起こりうる副作用について、院長の今井が正直にお伝えします。

まず、消したい線と残したい表情を分けます

ボトックスは、顔の動きを止める治療ではありません。眉間の縦ジワは和らげたいけれど、笑ったときの表情は残したい——多くの方がそう望まれます。

「能面のよう」と言われる仕上がりは、多くの場合、この設計をせずに量を入れてしまったケースです。どこに、どれだけ入れるかという設計が、仕上がりを決めます。

同じ薬を使っても、同じ結果にはなりません

うまくいかない原因として指摘されているのは、薬そのものではなく打ち手の側です。具体的には、解剖の理解不足、注入量の過不足、左右差の見落とし、顔全体のバランスを考慮していないことなどが挙げられています。

眉間・額・目尻は複数の筋肉が複雑に組み合わさっている部位です。注入する点の位置や深さがわずかに違うだけで、仕上がりは変わります。

当院の手順

この順番にしているのは、足すことはできても、引くことはできないからです。多く入れてしまった場合、効果が切れるのを待つほかありません。少なめから調整するほうが、結果的に自然な仕上がりに近づきやすいと考えています。

1回目より2回目、2回目より3回目

ボトックスの効果は3〜4ヶ月、長い方で半年程度で切れるとされています。「また同じことの繰り返しでは」と思われるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。

定期的に続けている方のほうが、効果が長持ちしやすいという報告があります。1回目より2回目、2回目より3回目のほうが持ちがよくなる傾向です。

表情ジワは「動かす→折り目がつく」の繰り返しで深くなっていきます。動きを抑える期間をつくることでその繰り返しが止まり、筋肉の力も落ち着いてくるため、以前より少ない量で足りるようになる方もいます。

また、折り目が浅いうちに動きを抑えておくほうが、深く刻まれてからより対処しやすいと考えられています。深く定着したシワは、ボトックスだけでは対応しきれず、別の治療を組み合わせることになる場合があります。早いほうが選択肢が多い、というのがあくまで私の考えです。

やめても、前より悪くなることはありません

「一度始めたらやめられなくなるのでは」というご心配をよくいただきます。やめても、打つ前より深くなるということはありません。効果が切れれば元の状態に戻るだけで、依存性のある治療でもありません。

続けている方が多いのは事実ですが、それはご本人の選択です。1回で終わりにしても、体に不利益が生じることはありません。

それでも、副作用はゼロではありません

特に3つ目は、薬剤が本来効いてほしい筋肉から少し広がることで起こります。これも注入する位置と量に関わる副作用です。

約4万6千人規模の調査では、合併症の発生率は0.5%、永続的な有害事象の報告はなかったとされています。頻度は高くありませんが、ご自身がそこに含まれない保証はできません。

万一そうした変化を感じた場合は、すぐにご連絡ください。一緒に経過を確認します。ボトックスは時間とともに代謝されるため、こうした変化も戻っていきます。前述の「初回は控えめに、2週間後に確認」という手順は、この副作用を起こしにくくするための設計でもあります。

効果が出るまでには数日かかります

打った直後はほとんど変化を感じません。効果が出はじめるまで3〜7日、安定するまで2週間程度が目安です。翌日に変化がないことは失敗ではありません。

「今は打たなくていい」とお伝えすることもあります

妊娠中・授乳中の方、神経筋疾患のある方は受けられません。服用中のお薬は必ずお伝えください。

相談だけで帰っていただいて構いません

診察にお越しいただいても、その日に施術を受ける必要はありません。お話を聞いて、見積もりだけお持ち帰りいただいて結構です。

あなたの表情の動きを拝見したうえで、打つ意味がある部位と、必要のない部位を正直にお伝えします。必要ないと判断すれば、そうお伝えします。

※効果の出方や持続期間、副作用の感じ方には個人差があります。本記事には院長個人の見解が含まれます。実際の治療は診察のうえでご説明します。